ABOUT
表現と文化のためのバックオフィス「countroom」
countroomは、芸術文化団体や文化イベントのバックオフィス業務をサポートする事務の専門チームでした。
2022年9月30日法人を解散、現在清算中。
設立時代表メッセージ
「芸術文化の仕事で食べていくって難しいよね」という言葉をよく耳にします。
どうやらそれは現実なんだろうと思います。「好きなことをやってるんだから、そういう世界なんだから、(お金に余裕がないのは)しょうがないよね」という周囲の空気も後押しして、芸術文化の業界に足を踏み入れた若い世代 が将来を考えて途方にくれる……そんな場面を幾度も目にしてきました。
大学生の時に小劇場の世界に足を踏み入れていたにも関わらず、卒業後に進路として私が選ばなかったのも、「演劇は食べていけない」というイメージを抱いていたから。またそもそも職業的な選択肢が見えていなかったから。今になるとそう思います。芸術文化の道を覚悟して選んだ人、私のように選ばなかった人、選んだけれど事情があって道を変えた人、みな少なからず冒頭の、漠然とした言葉にぶつかっているように思います。この状況は、はっきりいって健康的ではありません。
表現活動は、世の中の人々の豊かさや多様な価値観を守り育むために、教育や福祉と同様に必要不可欠なものです。芸術に携わる人が、創造すること、人や自然や社会を見つめなおすこと、既存の価値観や尺度を問い直すことに注力するのは、社会に対する強い危機感があり、なにより当人にとっても切実な問題だからです。表現する人のそういった姿勢は、接する人の思考と感覚をほぐし、豊かさを生み、勇気すら与えてくれます。
一度は芸術文化の世界から離れたものの、やはり何か関わることができないだろうか。そう考えたとき、たまたま私には「経理の仕事」という選択肢がありました。そして再び経理として芸術文化の世界に関わり、わかったことは、お金の流れとその意味(または無意味)に想像力を持つことが必要だということです。芸術文化活動においてお金を渡した人が誰からお金を渡されたのか。お金を渡された人が誰にお金を渡すのか。経済的対価を直接得にくい活動だからこそ、その循環と構造に敏感でなくてはいけません。
芸術や文化を仕事にしたいと思ったとき、業界をサバイブするための個人的な研鑽と行動は(他の業界と同じく)確かに一定程度必要かもしれません。ただ、100人のうちの1番になるまで個を研磨せずとも、自信や夢は持っていていいはずです。業界のために自身を犠牲にしなければならない理由も、ただ「芸術と生きる」という切実な選択と引き換えに、現実生活の何かを諦める必要もないはずです。前向きに、小さく不揃いなままでも、立っていていいと思うんです。
だからcountroomは、自分たちと、自分たちと仕事をしてくれる方々と、その先にいる方々のために、お金の仕事をできる場でいようと思っています。
バックオフィス業務は、今ここにある1を数え、次の1をまた数え、積み上げていく仕事です。いつも違う1を求める芸術文化の現場だからこそ、その不揃いで時には飛んだ先の1を捉えて積んでいく意味があり、また重みは増していく。そう考えられると面白いなと思っています。そして、数字や、作品や、人やその営みを数えて積み上げる行為自体が、この業界で働く私たちや仲間を勇気づけ、またより多くの人を繋いでいくはずです。
最後に本音を言うと、経理や事務は地味で面倒くさい仕事です。けれど、同時に面白い仕事で、経理や事務から広がる豊かな世界があるということを私はうっすらと確信しています。しなやかに越えていく1を地道に数えていく仕事を通して、私たち自身の生活と、芸術に携わる人々の活動と、その外に広がる社会の豊かさ、はみ出た面白さを見続けていければいいなと思っています。
株式会社countroom
代表取締役 五藤真
MEMBER
五藤 真、田中 克典、中山 恭一、戸塚 愛美、椎谷 万里江、山本 晴歌、
信國 輝彦、植田かほる、百瀬みずき、島田真吾、水上颯葵、飯村樹
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